とある少年のちょっとしたこと。

何度目の朝だろうか。もう数えるのもやめた。
妙に気だるい体を無理に起こして料理を作る。いつものこと。
「いって」
ぼーっとしていたからだろう、包丁で切られたそこは薄く血が滲んだ。しかし、傷は瞬く間に修復していく。

はぁ。

大きく溜息を吐いた。
この体になってから何年経っただろうか。
この体のまま、何年経っただろうか。
もう気が遠くなるほどこの体で居たから、わからなくなってしまった。
「おーい、起きろー」
それでも今はまだ、楽しみがあるから。
「はーい!」
元気な声を耳に入れてつい口元が綻ぶ。
「今日の朝飯はー……」